【雑記】チームのふりかえりのファシリがうまくできた気がしたのでふりかえり

背景

  • 私はスクラムチームでスプリントの最後のふりかえりの時間のファシリテーターをしている
  • 最近のふりかえりの時間に課題を感じていた
  • 今回、ふりかえりの時間の改善のために、課題に感じているところはどこか、課題を改善するためにはどのようにするのが良いのかを考えてから臨んだ

事前準備

ふりかえりカンファレンスでさまざまな発表を聞かせていただき、今回の振り返りでは「現状のチームの状況に合わせてどのようなふりかえりにするかを考える」というのを実践してみることにした。

現状のチームの振り返りでは、

「スプリント内で出てきた事柄を出す」→「事実についての感想出し+議論」→「あればActionを出す」

というような流れで行なっている。

例えば(実際に出てきたものではありません)、

  • 事柄:「スプリント内の打ち合わせが多い」
  • 感想
    • 話したいことを話せているので問題がないと思っている
    • 進めたいタスクが思うように進まないので大変
    • まだ話したいことが話せていない
  • Action:打ち合わせをできるだけ一日に集約する

といったような感じ

この方法で振り返りを行うことによって、実際に起きた事実についてメンバーで話し合うことができるため、事実を元に簡潔にどのような対応を行うかを考えることができていた。

しかし、現在この方法で三ヶ月ほどふりかえりを行ってきて、私は以下の課題を感じていた

  • 問題の解決策を話し続けるので雰囲気が暗くなる
  • 課題の対処に熱心になってしまって問題の根本的な原因などについて触れられにくい
  • 具体的な問題になっていないような「仕事がしずらいモヤモヤ」みたいなものが共有されない

これらのふりかえりに対する課題に対処するため、あらかじめ解決のための施策を考えてファシリテーションに臨むことにした。

ふりかえり本番

今回の振り返りでは、実際に以下の流れで行うようにした。

「事実出し」→「その事実について理想的にはどのようになっていたかったかを考える」→「あればActionを出す」

今までのフローとは異なり、出てきた事実に対して「理想的にはどのような形になっていたらよかったか」を最初に合意をとることを行った。いわゆる「ありたい姿フレームワーク」の部分適用のようなイメージだ。

例えば以下のような感じ(実際に出てきたものではありません)、

  • 事柄:「スプリント内の打ち合わせが多い」
  • 理想的な状況
    • 打ち合わせに優先順位をつけることができていて、取り組むべきものから取り組めるようになっているようにしたい
    • 打ち合わせしないといけないものはどんどん出てくるので、タスクを止めてでも取り組みたい
  • Action:打ち合わせしなければならないものに優先順位をつけてMustで取り組むものを決める

上記のように、理想的な状況がコンフリクトした場合には、どうしてそれが理想的な状況かを深掘りするように促し、チームとしての唯一の理想的な状態に合意をとるようにする。

そのような形をとった狙いは以下の四つである。

  • ギャップを埋めたいと思う力である「クリエイティブテンション*」によって楽しく問題に立ち向かいたい
  • 理想的な状態を共有するという行為を通して、メンバーの中にある「もやもや」や「言葉にできない働きにくさ」みたいなものをお互いに共有したい
  • 理想的な状態について皆で想像することによって、問題の本質的な部分に気づくことができそう
  • 理想を先に共有し、目指す場所を一つにすることで議論が発散するのを防ぎたい

(*)創造的緊張(クリエイティブ・テンション)|玉川大学の通信教育|玉川大学 通信教育課程

上記のねらいを達成するために、ファシリテーションする上で以下の三つのことに注意して進めた

  • 理想像に合意を取りたいということ、またその目的をメンバーにつたえる
  • 今回出そうな話題が「人vs人」の構造になりやすいことが予想されたので、それを抑制する
  • 「理想の姿フレームワーク」を用いるみたいな用語は持ち込まない(用語を出すと忌避感を感じる方もいるかもしれないので)

終えての感想

これは僕のファシリテーションの腕不足だったと思っているが、予想よりも議論のスコープが広がってしまう。一つの事象について、さまざまな観点での「理想的な姿」が出てくるので、事象を小さくしたり、さまざまな観点での理想な姿を適切に捌くなどをして、メンバーが最も取り組むべき話題に集中できるように促すのが必要だと感じた。

また、メンバーが個々の理想を共有するとき、しばしば「これがチームの理想だ!」という空気が生まれがちになる。しかし、真にチーム全体の理想像に合意するためには、その理想が本当に全員の合意を得ているかを定期的に確認する必要があった。そのため、少しでも疑問に思う場面があれば、「この理想像は〇〇さんの考えと異なるように感じますが、〇〇さんにも理想的な状態ですか?」と意識して尋ねることを心がけた。その結果、メンバー全員で一致したチームとしての理想像を持つことに近づけられたと感じた。

今回扱った事象についての理想を合わせるのに1時間半もかかってしまったが、これによって今までふりかえりで話題に上げづらかった「思い」の部分をぶつけ合うことができたと感じている。直接的なActionこそ出なかったが、理想的な状況のイメージをチーム全員で合意をとることができたことにチーム全体で価値を感じることができた。

そして、「今回のふりかえりはとても良い時間だった!」とメンバーからも言っていただくことができ、心なしかチームの雰囲気が明るくなったのを感じた。

おわりに

色々とやってみて、やはり自分のファシリテーション力にはまだまだ課題があるとは感じた、(どうしても人vs人になりかけてしまうケースがあったりしたりなど)、一方であらかじめ準備をしてふりかえりのファシリテーションに臨むことはとても大切だと実感した。

これからもふりかえりの前には現状のチームの状態に合わせたふりかえりの準備をし、目的を持ってファシリテーションをしようと思った。

おしまい